え、歯科医院ならどこでもちゃんと消毒しているんじゃないんですか?
確かに消毒はしていますが、どのようにやっているか、どこまでやっているかは歯科医院によってずいぶん違います。
こんな統計があります。
- 常時ゴム手袋を使用している歯科医院の中で、患者さん毎にゴム手袋を交換している歯科医院は15%程度。
- ハンドピース(歯を削るときに使うキーンと鳴る機械)を患者さん毎に交換消毒をしている歯科医院は1%程度。
どうしてそんなことになるんですか?
消毒を徹底するということは歯科医院にとって大変な負担になります。まず消毒を徹底するには大変な手間とお金がかかります。手間がかかる分、治療できる時間が減ってしまいます。しかも消毒を徹底したからといってそれにかかった費用を余分にはいただけないシステムになっています。つまりお金がかかり収入が減るということです。消毒の問題は、歯科医院にとっては良心と経営の板挟みの大問題なのです。
消毒を徹底しないとどんなことが心配なのですか?
血液から移る病気・唾液から移る病気です。特に血液から移る病気が心配ですね。血液から移る病気にはエイズ、B・C型肝炎、梅毒など命に関わる病気があります。病気が移る可能性自体はそんなに高くないのであまり神経質にならなくていいと言う人もいますが、わたくしは安心して歯の治療を受けていただくためには、少しでも病気が移る可能性があるのならなるべく安心できる方法を選んだ方が良い思っています。
どんなことがポイントになるのですか?
当医院で行っていることを2つほど例をあげてご説明します。消毒を徹底するためにやった方が良い項目はたくさんありますし、現在でも気がつく度に改善を行っているというのが実情です。
◇ゴム手袋を患者さん毎に交換する:
消毒を徹底しようとする歯科医院が、普通最初に導入する事だと思います。当医院では1992年から実行しています。誤解や間違いが無いようにするために、その患者さんの治療が始まる時に新しいゴム手袋をはめ、その患者さんの治療が終わった時にすぐに廃棄しています。ゴム手袋の費用は術者1人分で1回につき20円〜160円位で、ゴム手袋をすることで治療の能率は落ちてしまいます。
◇ハンドピースを患者さん毎に交換・熱消毒する:
歯を削るときに使うキーンと鳴る機械です。この機械は止まるときにまわりの物を吸い込む性質があります。口の中で使っている時には出血することも多くありますので、ハンドピースの外側には血液と唾液が付着し、ハンドピースの中には血液と唾液が吸い込まれている可能性があります。それをそのまま次の患者さんに使用すれば、吸い込んだ血液と唾液を吹き出すことになってしまいます。従来は外側だけをアルコールで拭くという消毒法が多かったようです。
できるだけまわりの物を中へ吸い込まないように工夫された機械もありますし(当医院でもそういうものを採用しています)、空回しをすれば充分という人もいますが、一番安心できて確実な方法は1回1回はずして熱消毒することです。そうすればハンドピースのまわりは勿論、吸い込まれた中の方まで確実に熱で消毒できます。
当医院では、患者さんの治療にあたっては必要な時のみハンドピースを出して使用し、その患者さんの治療が終わるとすぐにはずして熱消毒に回しています。
どちらにしても、治療室に入って治療を受けてみないと分からないのでしょうか?
消毒についてご心配でしたら気になっているところを率直に聞いてみてはいかがですか。消毒に努力しているところでしたらきっとあなたが納得できるような答え方をしてくれると思います。
消毒の徹底はあくまで患者さんのためにやっていることで、治療をやる側が自分の身を守るためにだけやるのでしたらそこまでやる必要はありません。
消毒の問題は、治療をやる側にとっては医療に対する姿勢そのものが問われている問題です。
私は患者さんのために本当にそれだけの手間とお金をかけているところでしたら、治療の内容も患者さんのためを考えている所が多いと思っています。